卒業生とその進路

CMOS回路による温度検出スイッチ


萩原 淳史

2006 年度 卒 /修士(工学)

修士論文の概要

近年、CMOS LSIはスケーリング則に基づく微細化によって、高速化・高集積化を実現してきた。それに伴い、回路の安全で安定な動作の補償が必要とされ、バッテリパックや基板の温度監視が行なわれている。それらの温度監視には、サーミスタや温度検出ICなどの温度センサが用いられている。しかし、これらの温度センサは、回路規模や消費電力が大きい点に改善の余地があると考えられる。

そこで本研究では、CMOSサブスレッショルド領域の温度特性を利用した温度センサ回路の構築を目指す。CMOSサブスレッショルド領域で動作するMOSFETの温度特性と、強反転線形領域で動作するMOSFETの温度特性の違いを利用して、ある特定の温度において出力電圧を急激に変化させる温度検出スイッチ (Critical Temperature Switch; CTS) 回路の提案を行なう。理論による動作解析とシミュレーションによる動作確認、さらにはブレッドボード上に市販のMOSFETを組み合わせてCTS回路を構成し、実際に測定を行なった。

また、CTS回路の動作特性として、温度上昇と温度下降に対して異なる特性を持つため、動作補償を行なうためのリセット回路を構築した。このリセット回路には、基準電流源回路、リング発振器、フリップフロップを用いており、これらのすべてをサブスレッショルド電流によって動作させることを検討した。フリップフロップに関しては、構成するすべてのインバータとNAND回路の貫通電流をサブスレッショルド電流により制御し、低消費電力化を可能とした。また、サブスレッショルド電流で制御することによる種々の問題に対して検討を行ない、最適化を行なった。