卒業生とその進路

CNT/分子ネットワークにおける物理リザーバ特性の解析とその性能評価法に関する研究


五十嵐 健人

2022 年度 卒 /修士(情報科学)

修士論文の概要

本研究は、時系列データを扱う機械学習モデルとして近年注目されているReservoir Computingの物理実装に関するものである。本研究ではCNT/分子ネットワークによってリザーバは構成されており、このネットワークは先行研究にてリザーバへの利用可能性が示されている。このことを踏まえ大きく2つの段階のもと進行した。1つ目は分子リザーバの可能性としてシミュレーション上で最大性能を測定し、関連するパラメータを同定することである。先行研究による実験値等の知見を利用したシミュレータを構築し、その際に設定したパラメータを適宜変更することによってリザーバ性能の向上を行った。またその際に得られた情報を実験の中へと反映させるための考察を行った。2つ目は実験環境において試料作成を行い、シミュレーションで得られた知見を反映させることでの性能評価を行うことである。試料の濃度や入出力電極などを変更を行うことで、性能の変化が見られた。しかしより性能を引き出すことを目的に環境の改善を行い、電流を微小にすることを行った。現状で測定できている単チャンネル計測では、非線型性が大きくまた多様な電流応答が得られた。この結果は今後実装する多チャンネル計測に大きな期待が持てる結果となった。

学術論文

  1. (invited paper) Akai-Kasaya M., Igarashi K., and Asai T., "Cellar automata models for reservoir computing in single-walled carbon nanotube network complexed with polyoxometalate," Nonlinear Theory and Its Applications, vol. E15-N, no. 1, pp. 17-35 (2024).

受賞

  1. 五十嵐 健人, "リザーバ機能発現を目指した大規模非線形ネットワークシミュレータの構築," 電子情報通信学会複雑コミュニケーションサイエンス研究会 - 2020年度若手研究奨励賞, Jun. 12, 2021.

国内学会

  1. 五十嵐 健人, 浅井 哲也, 赤井 恵, "CNT/分子ネットワークによる物理リザーバの構築とその評価," 第83回応用物理学会秋季学術講演会, 東北大学, (ハイブリッド開催), 2022年9月20-23日.
  2. 五十嵐 健人, 浅井 哲也, 赤井 恵, "CNT/分子ネットワークによる物理リザーバの構築とその評価," 電子情報通信学会複雑コミュニケーションサイエンス研究会, 北海道 ルスツリゾートホテル&コンベンション, (ハイブリッド開催), 2022年3月27日.
  3. 五十嵐 健人, 浅井 哲也, 赤井 恵, "リザーバ機能発現を目指した大規模非線形ネットワークシミュレーターの構築," 電子情報通信学会複雑コミュニケーションサイエンス研究会, (オンライン開催), 2021年3月29日.