軽量ハードウェアに向けた大局および局所適応型輝度補正手法
吉田 嵩志
2017 年度 卒 /修士(情報科学)
修士論文の概要
本研究は撮像素子の性能向上によって取得可能になった高ダイナミックレンジ(HDR:High Dynamic Range)画像のダイナミックレンジの適切な圧縮をリアルタイムに行うアーキテクチャの考察とFPGA実装に関するものである。
本研究は、LHE(Local Histogram Equalization)を基にしている。LHEは画素の変換のために変換画素を中心とした一定サイズの局所領域が必要である。従来であればこの処理を行うために入力待機時間が必要となりこれが大きな遅延となっていた。本研究では入力遅延とそれに付随する問題を解決するために縮小フレームバッファ方式を考案した。
本アーキテクチャでは動画内において1フレーム前の入力はほぼ同一画像であることを利用しあらかじめフレームを溜め込み、入力フレームの1フレーム前の画像から局所領域を作成するダブルフレームバッファ方式を採用することで局所領域作成における入力遅延をほぼ0にすることが可能となった。次に上述のフレームバッファによる回路規模の増大を抑制するためにフレームバッファを1/64に圧縮した縮小フレームバッファを採用した。縮小フレームバッファにおける情報量の精度の劣化を避けるために縮小フレームバッファの情報を64倍にし局所領域を作成し、サブピクセル精度での演算を行うことで回路規模の削減と局所領域における本来のFull-HD画像と比較して遜色のないデータ精度を両立することが可能となった。この縮小ダブルフレームバッファ方式を採用したLHEベースの局所適応型輝度補正を行うアーキテクチャをFPGA(TB-7K-325TIMG, Xilinx Kintex-7)上に実装しFull-HD入出力、60 fpsを達成するに至った。
受賞
国内学会
|